治療方法について

下肢静脈瘤の治療法は症状、病気の段階、患者さんの希望などによって、決定します。
治療法には、1)弾性ストッキングによる圧迫療法、2)硬化療法(注射による治療)、3)ストリッピング手術、4)レーザー治療、と大きく分けて4つあります。

1)圧迫療法(医療用弾性ストッキングによる治療)

圧迫は最も基本となる大切な治療です。弾性ストッキングを履くことによって、足に適度な圧力を与えて余分な血液が静脈瘤の中に溜まることを予防し、深部静脈への流れを助けます。血液を下から上に、表在から深部へと導き、下肢本来の流れに戻します。むくみもとれ、静脈瘤は小さくなり、下肢は軽くなります。しかし、これは弾性ストッキングを履いている時だけで、脱いで立ち上がれば、また静脈瘤は出てきます。つまり、根本的に治すための治療ではなく、あくまでも悪化を遅らせたり症状を軽くするための保存的治療です。したがって、静脈瘤が消失するわけではありません。通常、毎朝起床と同時に着用し、帰宅あるいは入浴するまで履くことが大切です。なお、寝る時には履かないでください。また、4か月から6か月で弾性ストッキングはゆるんできてしまいますので、半年に2~3足程度購入してください。万一、かぶれや湿疹のなどが出現した場合には、いったん使用を中止し、クリニックにご相談ください。

メリット
  • 低価格
  • 履くだけでよいので、日常生活の中で続けられる。
デメリット
  • 保険が効かない
  • 履いている間しか効きめがない
  • 夏は暑く、かぶれやすい

2)硬化療法

硬化療法は硬化剤(ポリドカスクレロール)といわれている薬剤を静脈瘤の中に注入して、静脈の内膜に炎症を起こさせ、その上で皮膚の上から圧迫して患部の静脈を閉塞させ、静脈瘤を消失させる治療法です。1回の施行時間は10分~15分で、外来通院で施行可能ですので、入院の必要はありません。また、手術のように切るわけではありませんので傷は残りません。硬化療法によって完全に閉塞した静脈は徐々に小さくなり、最後には組織に吸収されて消えてしまいます。病気の静脈を閉塞させると、血液は正常な静脈を流れるようになり、症状が改善します。しかし、この治療法が有効な静脈瘤はごく初期のもの、あるいは細い静脈瘤であり、伏在静脈瘤には適応がありません。つまり、すべての方を硬化療法だけで静脈瘤を治療できるわけではありません。また、場合によってはしこり(血栓形成)や静脈炎、色素沈着などの合併症を起こすこともありますので、手術やレーザー治療の補助的なものと考えていただいたほうがよいかもしれません。

メリット
  • 外来で治療ができる
  • 無麻酔で行い、その日から歩くことができる
  • 傷跡がほとんど残らない
デメリット
  • 硬化剤注入部に色素沈着することがある
  • しこりが残ることがある
  • 再発が20~30%に認められる

3)ストリッピング手術

進行した静脈瘤を根本的に治療するには、手術治療が必要となります。ストリッピング手術は下肢静脈瘤の根治的な治療法として1900年代初頭より行われている最も標準的な手術で、引き抜く手術です。現在、日本で最も多く行われている方法です。これまでの多くの実績から安全で再発も極めて少ない完成された確実な治療法です。具体的には足の付け根や膝裏などの皮膚を約2cm程度切開し、弁不全を起こしている静脈(主に大伏在静脈または小伏在静脈)を特殊な器具(ストリッパーワイヤー)で抜去し、残った静脈瘤を小切開創から摘出します。ただ、血管を引きぬく過程で細かい神経が傷つき、その結果、10%程度の頻度で術後にしびれ感を感じる場合があります。もちろん、ストリッピング手術は特別危険な手術ではありません。また、静脈を抜いてしまっても、静脈瘤内に溜まっていた血液は正常な深部静脈へ流れるため、まったく心配はありません。むしろ、静脈を抜くことによって下肢の血液の流れは本来の流れに戻るわけです。一般的にはストリッピング手術は傷跡が残ると言われていますが、当院では可能な限り創を小さくする工夫をしていますので、時間がたてば、目立たなくなります。

ストリッピング手術
メリット
  • 再発率が極めて低い
  • 安定した治療成績
  • 安全性に信頼度が高い
  • 保険適応で費用が安い
デメリット
  • 知覚神経にダメージを少し与えてしまうことが1割程度にある

4)レーザー治療(下肢静脈瘤血管内焼灼術)

静脈の中にレーザー光を導くための細い光ファイバーを通し、血管内に照射するレーザーの熱によって静脈をふさぐ新しい治療法です。傷跡が目立たず美容的にも非常に優れています。原則として局所麻酔で施行しますので日帰り手術が可能であり、従来の手術に比べると低侵襲(体にとってストレスが少ない)です。欧米では、15年以上の歴史があり、すでに静脈瘤治療の多くはレーザー治療で行われています。長い間、我が国ではレーザーの保険診療が認められず、片足だけで数十万円と大変高価な治療法でしたが、平成23年1月より日本でも保険適用となりました。ただし、厚生労働省が正式に認可したレーザー治療機器(レーザー波長が980nmと1470nmの二種類あります)で行った場合にのみ、健康保険が適応されます。当クリニックが採用しているのはこのうち、1470nmの最新機種です。レーザー治療は、経験豊かな血管外科専門医が適切に行えば、体に与える負担は極めて少なく、術直後から日常生活に復帰でき、かつ根治度の高い治療法であるといえます。海外の論文でも5年間の術後成績でストリッピング手術より優れた成績を残しているというデータもあり、長期的予後もストリッピング手術以上の経過となる可能性もあります。

最新レーザー治療を行うに当たって、治療の根治度、安全度を最優先し、満足度の高い必要かつ十分の医療となるよう様々な工夫をしております。レーザー機器が同じでも、適切な術式や細かな手術操作が施されなければ治療成績に差が出ることは言うまでもありません。 長年、下肢静脈瘤に悩まれながら治療に踏み込めずにいる方、治療はしたいけれども忙しくて時間がない方、下肢静脈瘤を短期間で適切に治療する医療機関が近隣に無い方、手術創の仕上がりにこだわりのある方、安く保険診療でレーザー治療を受けたい方は、当クリニックにご相談下さい。

メリット
  • 日帰り治療が可能
  • 手術部位は傷跡がほとんど残らず目立たない
  • 出血がほとんどなく、体への負担が少ない
  • 保険適用で費用が安い(3割負担で4~5万円程度)
レーザー治療

レーザー治療に使用する医療機器について

当クリニックで採用しているレーザーは、EVLA(Endovenous Laser Ablation、血管内レーザー焼灼)と呼ばれる方法で下肢静脈瘤を治療する装置で、弁不全となった伏在静脈の血管内でレーザーを照射し、血管内を収縮・閉塞させることで血流を遮断し、逆流を阻止します。最新の保険適応のレーザー治療機器です。EVLAは、欧米では2001年頃から行われており、多くの臨床研究で従来の外科手術に比べ侵襲性が低く、重篤な合併症もまれで、再発率も少ない治療機器とされています。また、使用するガイドワイヤー、レーザーファイバーなどの体内に入る物はすべて1回限りの使用(使い捨て)となっているため、感染のリスクもありません。

ELVeSレーザー

ELVeSレーザー
医療機器承認番号:22200BZX00660000

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