足の血管が浮き出る原因

足の血管が浮き出る原因

下肢静脈瘤とは

「下肢」とは足のことで、下肢静脈瘤という病名は「足の静脈のコブ(瘤)」を意味します。皮膚表面に血管がコブのように膨らみ、うねって浮き出て見えるのが特徴的な病気です。初期段階では足が重い、足がむくんでだるいなどの症状なので疲れが溜まっている程度に考える方も多くいます。1,000万人もの患者さんがいるポピュラーな病気でありながら認知度は低く、血管が浮いて見えるようになって驚いて受診される方が多いようです。

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤の初期には足が重い、だるい、少し痛む、むくむなどの症状が出ます。とくに長時間の立ち仕事などに従事している方に出やすく、この時点では疲労との区別はつきづらいものです。また、夜中に足がつる症状もよく見られます。やがて網目状やクモの巣状に血管が透けて見えたり、ボコボコと血管が浮いて見えてきたりします。
下肢静脈瘤は命にかかわるような症状になることはありませんが、妊娠・出産による一時的なものを除いて自然に治ることはありません。放置しておくと色素沈着して肌が黒ずんだり、皮膚炎、潰瘍を起こしたりします。

足の血管が浮き出る原因

足の静脈は重力に逆らって血流を心臓に押し上げなければなりません。、そのため血液の逆流を防止する静脈弁が発達しています。長時間の立ち仕事やデスクワークなど一か所に動かないでいる仕事に従事する方や妊娠などで足の血流が滞ったりすると、足の静脈に圧力がかかり、血管が膨らんで広がってきます。すると静脈弁が働きにくくなったり、圧力により静脈弁が破壊されてしまいます。その結果、血液が逆流して血管がコブのように膨らみます。皮膚に近い表在静脈にコブがでて膨れるため、血管が皮膚表面に浮き出てきます。

血液がうっ滞する仕組み

血液が静脈内などに滞ることをうっ滞といいます。
足の血液循環では逆流を防止する静脈弁のほかに、ふくらはぎの筋肉が静脈を絞り上げることで血流が心臓に向かうのをサポートする機構(筋肉ポンプ)が備わっています。長時間の立ち仕事や妊娠・出産などのためにこれらの機能が十分に働かなくなると、静脈血を心臓に送れなくなります。心臓からは拍動ごとに血液が送られてきますので、足で血液が渋滞します。これがうっ滞です。血管に余計な圧力がかかり、赤血球がしみ出したり、血管が膨れたりします。

下肢静脈瘤の検査

ドプラー検査

皮膚の上から超音波を血管に当てて逆流の有無を診断します。
プローベという器具を皮膚の上から血管に当てふくらはぎを手でつかんで圧迫します。すると血液が押し上げられザッという音として聞こえます。ふくらはぎの圧迫を解くと、血管が正常で逆流を起こしていない場合には何も音がしませんが、逆流があると検査機からザーという音がします。この音の大きさと長さで逆流の程度を診断します。
短時間で済み、痛みを感じることもありません。下肢静脈瘤の診断に必要な多くの情報を得ることができます。

超音波検査

ドプラー検査と同じく超音波を利用した検査で、現在では最も一般的で有効な検査です。血流の方向、血管の太さ、逆流の有無などを観察します。カラードプラー検査ともいい、血流の様子を色分けして表示することができます。血管の太さや逆流を視覚的に画像で確認することができます。

下肢静脈瘤の治療

血管内焼灼術

機能不全を起こしてうっ滞を起こしている静脈血管をレーザーや高周波の熱で焼き固めて(焼灼と言います)閉塞させます。
事前に超音波検査で詳細に血管の状態を調べておき、機能不全を起こしている静脈血管の中にカテーテルを挿入します。膝あたりから細いカテーテルを静脈内に挿入し、患部まで誘導してレーザーや高周波の熱で血管を内側から焼き固め、静脈を閉塞させます。
焼かれて閉塞した血管は数ヵ月(3~6か月程度)かけて線維化し吸収されます。
手術は局所麻酔で行われ、傷跡が目立たず美容的にも過優れており、日帰り手術も可能なので現在では第一選択の治療となっています。入院が必要だった従来のストリッピング手術に比べて患者さんの負担が非常に軽く治療直後より歩行も可能で日常生活にすぐに復帰できる根治性の高い治療で再発率もストリッピング手術と同等と言われています。

ストリッピング手術

足の付け根と膝の内側の2ヵ所の皮膚を切開し、機能不全を起こしている静脈にストリッパーというワイヤーを入れます。これを引き抜くことで静脈を丸ごと抜去します。以前から行われている手術で、根治性が高く再発率が低いことが大きなメリットです。
全身麻酔や腰椎麻酔を用いて2、3日の入院を伴うのが一般的ですが、最近では静脈麻酔やTLA麻酔という局所麻酔などで日帰り手術を行う医療機関も増えてきています。

硬化療法

機能不全を起こしている静脈に硬化剤という糊を注入して静脈を潰します。薬剤が流れてしまわないようにストッキングや弾性包帯で静脈瘤を圧迫します。硬化して潰れた血管は萎縮して消えます。施術は10分程度で終わります。針を刺すだけなので、傷跡も残りません。
軽度の下肢静脈瘤やクモの巣状静脈瘤、網目状静脈瘤には有効ですが、重症化したケースでは効果は不十分で改善が期待できないこともあります。また、再発するリスクが高く色素沈着することがあるといわれています。

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